2024年10月新刊 『五行歌百人一首』
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【書誌情報】
書 名:『五行歌百人一首』 選 : 鮫島龍三郎 四六判・並製・152頁 定価1,650円(本体1,500円+税10%) 発行日:2024年10月10日 ISBN978-4-88208-214-9 写真/装丁:水源カエデ |
◆◇月刊五行歌30年分360冊から百選!この大業を見よ!◇◆
五行歌百人一首を編むために、一年かけて、三十年の月刊『五行歌』を、一日中読む生活をしようと、昨年(2023年)の春、思いました。
一首読むごとに作者の生活、思いが浮かびます。一首に心動かされた時の嬉しさは格別です。
折しも昨年の十月に両耳が突発性難聴になり、まったく音のない世界になりました。一日歌を読み、夕方、散歩に行く、何という至福の日々でしょう。
突発性難聴
音のない世界にいる
夕焼けの
なんという美しさ
ブッタの最後の旅のよう
本文「五行歌との対話」より
◆◇選者プロフィール◇◆
鮫島龍三郎(さめじま・りゅうざぶろう)
1952年 鹿児島県に生まれる。
現在、さいたま市在住
五行歌の会同人
著書に、五行歌集『喜劇の誕生』(2020年)ほか、五行歌入門書として選歌集『五行歌って面白い』(2018年)、『五行歌って面白いU』(2019年)がある。
◆◇目次◇◆
はじめに
1 恋・愛
2 わたし
3 宇宙・自然
4 社会・文化
5 家族
6 幸せ
7 人生
8 生老病死
9 真善美
五行歌との対話
跋 歌への愛が伝わる 草壁焔太
おわりに
◆◇はじめに より◇◆
幼き頃、お正月に母が中心となって、家族全員で遊んだ百人一首のカルタ取りが、私の詩歌体験の原点だった気がします。
「小倉百人一首」は、藤原定家の選とされています(一部異説もあります)。
「世上乱逆追討耳に満つと雖も之を注せず。紅旗征戎は吾が事に非ず」(明月記)と日記に記し、歌の道に一生を懸けた定家は、アンソロジスト(詩文集の編者)としても一流の歌人でした。
江戸時代に「小倉百人一首」は、上流層から庶民にいたるまで、古典和歌のテキストとして、あるいは、カルタ遊びや絵として、人気を博しました。
百人の歌を一首選んでアンソロジーにする、それが時代を超えて人々の心を掴んだのです。
五行歌は、五行の「歌」、「詩」です。
この本は、五行歌を百人一首にすることによって、ひとりでも多くの方に五行歌のすばらしさを知ってほしい、との思いから生まれました。
この中の一首でも、あなたの心に残りますように。 鮫島龍三郎
-----------------(1恋・愛、2わたし より)--------------
喫茶店の 小原淳子
ドアの前で
雪を払って
手袋を脱ぐ
うれしい恋
こんなに 草壁焔太
寂しいのは
私が私だからだ
これは
壊せない
-----------------(3宇宙・自然、4社会・文化 より)--------------
二十億光年を 三隅美奈子
1キラリと名付けよう
キラリ キラリ
そんな長さで流れていくのだ
宇宙の河は
詩神は 佐々木エツ子
純度の高いアルコール
脳髄から
爪先まで
素早く染める
------------------(5家族、6幸せ より)--------------
重篤の枕辺 秋川果南
妹と私に
微笑みながら
父は
母だけを見ていた
今が 高山智道
何より
大切に思えて
水滴のように
丸くなっている
------------------(7人生、8生老病死 より)-----------------
ハムレットのポスターが 松山佐代子
「生か死か」と問いかける
生きるにきまっちょる!
毎朝応えながら
改札へ急ぐ
生き残るとは 紫かたばみ
残酷な
罰ゲーム
自由さえ
持て余している
------------------(9真善美、対話 より)-----------------
祇王寺の夏 三好叙子
深として
千年の約束のように
白猫
膝にきて眠る
ほんとうに 鳥山晃雄
在った
時間なのか
ただ なつかしい
日々
