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2023年7月新刊『オールライト』

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【書誌情報】

[そらまめ文庫 お2-2]
書 名: 五行歌集『オールライト』

著 者:大島健志
新書判・並製・190頁
定価880円
(本体800円+税10%)
ISBN978-4-88208-202-6
発行日:2023年07月13日

イラスト:花島照子

◆◇大島健志 第2 五行歌集◇◆

 「オールライト」の意味は「大丈夫」とか「正しいよ」ということだけれど、収録された歌は、否定もしくは否定的な言辞で満ちてもいる。それでも、時折「だいたいOK」とか、肯定が顔を出す。ペテーフィの言葉を連想したのは、否定しては肯定し、肯定しては否定する、この歌集全体のトーンに拠るものだ。
 作者は年齢的には「青春の三次会に参加」(作者の歌からの切り貼り)しているようだから、この歌集のそういうトーンを、純心と見るか、あるいは甘えと見るかは、読者によっては評価が分かれそうだ。その意味で、この歌集は『だらしのないぬくもり』(第一歌集)から始まり、第三歌集以降へと至る、過渡的な歌集と言えるかもしれない。

(関門歌会代表 漂彦龍・跋文より抜粋)


◆◇著者プロフィール◇◆

大島健志
1979年7月生まれ。
図書館情報大学同学部同学科卒。
母の影響で2014年頃から五行歌を書き始める。五行歌の会同人。
2019年五行歌集『だらしのないぬくもり』上梓。


◆◇あとがき から◇◆

 私はこの四年間のどこかで自分自身と折り合いを付ける術を身に着けたような気がしてなりません。以前の私は、臆病なくせに身勝手な自分のことが大嫌いでした。しかもそんな自分を自覚しながら性格や生き方を変えようともせず、未熟さに起因する生きづらさを周囲に責任転嫁して、ひたすら自分の殻にひきこもっていました。
 もちろん年齢や環境のおかげもあるのでしょうが、そうした状態から少しずつ自分のことを許容できるようになる過程において、五行歌の存在は大きかったと思います。想いを包み隠さず歌に書くことで、自分の感情を客観的に把握し、気持ちの整理ができるようになりました。また、そうした歌を発表しても決して笑わず、馬鹿にもせず、真剣に、敬意を持って読み解いてくれる歌会という「場」も私にとっては心の拠り所でした。
 今はたとえ、かっこよくなれなくても、五行歌とそれに関わる方々を大切にして、今後も精進してゆきたいです。  

(著者・あとがきより抜粋)


◆◇目次◇◆

第1章 青春の副作用
第2章 セル・マイ・ソウル
第3章 彼女たちの流儀
第4章 恋と呼べるかわからない
第5章 ロストピース
幕間 〜四つの折本より〜
第6章 でこぼこ
第7章 友へ
第8章 君が希望を語れ
第9章 空虚な幸福
最終章 ふぞろいの結晶
  跋 閉じている宇宙 漂 彦龍
  あとがき


◆◇収録歌 紹介◇◆

実直でダサい
君こそが
希望を語れよ
皆がそれを
聞きたがっている


開かれている
ほうがいい
という誤解
閉じているうちは
宇宙でいられる

そんな
生臭い光など
いらないよ
清潔な闇に
包まって眠る


美学など
いらない
みっともなく
滅びてゆこう
君の手を握る

絞り出せ
ほんとの気持ち
君の声は
生きている間だけ
生きている誰かに届く


花が咲くように
君が笑う
まいったなぁ
いや、良いんだけど
なんかもうずるい

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