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本のご紹介

河田日出子五行歌集『机と椅子』

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書 名◇『机と椅子』

価 格◇ ¥1,500+ (税)

四六判・並製・246頁
定価1,650円(本体1,500円+税10%)
発行日:2017年3月13日
ISBN978-4-88208-145-6


◆◇著者プロフィール◇◆

河田日出子(かわた・ひでこ)

1939年東京巣鴨に生まれる。明治学院大学卒。14歳の頃から詩作。20歳から35歳まで、婦人運動家、山高しげり氏(元参議院議員)が会長の全国地域婦人団体連絡協議会に在職。事務局次長を最後に病気退職。16歳から氏の薫陶を受ける。
1977年、詩人、草壁焔太氏が主宰する詩誌『湖上』の同人となる。現在は氏が主宰する月刊『五行歌』同人。『婦人文芸』同人。
 著書に詩集『男たちよ』『女のうた』アルツハイマーになった夫を8年間在宅介護した記録『俺はこわれちゃったんだよ』がある。著作に長編「最後の」、短編「かぜ」「弟」ほか多数、『婦人文芸』にて発表。


◆◇ほんとうの言葉◇◆

私という
人間の
完成がみたくて
文学を
やっている


感動し
感動し
感動し続けて
いっぱい本を読んだ
今、実になっている

 こういう歌を見るだけで、私の心は彼女の心と同期して燃える。ああ、ここが繋がりだったと驚いて確信した。文学運動をしながら孤独だと思ったことはないけれども、世の中にわかる人はいないというように感ずることは多かった。
 彼女は、しかし、私に呼応してくれていた。私もまた彼女に対してそういう役割をしていたのかもしれない。「文学」という章が立ったときに、私はこんな人はいないと思って昂奮したのだから。

 もう一つ、私の驚いたことは、『机と椅子』というタイトルを、私自身が当然のように選んだことだった。最初の予定にはまったくなかった。しかし、全体を見た私にはこれしかないとも思えた。それは、彼女の厳として崩れない姿勢と繋がっているとも思う。生涯、彼女はそこで、その姿勢で何事かを成し遂げようとした。その憧れが彼女を作り、その夫もまた同じ憧れを持ち、その憧れを求め続けた。
 まだ日本が貧しくて、十分に進学できない人も数多くいたそのころ、彼女にとっては机と椅子が、自身の明日のシンボルであり、自分の存在を確かにするものだった。彼女はよく働き、働きながら三十にして大学に進む。
<中略> 彼女についてすべてを語りたい気持ちがあるが、私にもそれは無理である。文学を行う者は誰がほんとうのことを言うかという競争をしているのだと、私は思っている。私たちはまだその過程にあり、ほんとうにほんとうのことを書くのはこれからかもしれない。
 それでも、彼女はよく書いた。私がこうあってほしいと思うとおりに、すべてについて書こうとした。「信ずることができる」。このまとめを終えて、私の呟いた言葉はこれである。文学を行う者は真実を表そうと努めつづけるから、ついに読者からこの回答をもらう。「信ずることができる」。これを彼女のこの歌集への贈り物としたい。
(五行歌の会主宰 草壁焔太 跋文より)

パパ
会いたいよ
会いたいよ
会いたいよ
会いたいよ


何もかも 
夫が居ての
感動だった
パパ起きましょうか、と
言えない朝のうつろ

自分の考えが
全く
正しい
それが
私の問題だ


今に
感謝しないで
いつ、感謝する
永遠は
今でもある

良き
言葉との
出会いが
人格を
向上させる


人の心は
たえまなく
損得を
計算している
愚かな器



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