2014年11月の新刊
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書 名 ◇ 『鍋』
著 者 ◇ 大本あゆみ 四六判変型・上製・234頁 定価1,320円(本体1,200円+税10%) 発行日 2014年11月1日 ISBN978-4-88208-131-9 |
◆◇著者プロフィール◇◆
岡山県備前市生まれ
現在、大阪府堺市在住
五行歌の会同人
◆◇ 真実の芯 ◇◆
人生、生活、周辺のことごとくを冷静に見透かしていることに感心する。そこにかすかに漂わせているユーモアが、真実の芯とも重なって、世界を展示していく。それが読み手には楽しい。
いままで歌われたフライパンの歌のなかでも、最もよくフライパンを表した歌と思った。と同時に、人間の嫉妬心をもよく捉えている。奇跡のような一致がまったく関係のないものの間に生じた。いままで、嫉妬を掻き立てる心の傷とフライパンの傷が同じものであったとは、誰も気づいていなかったのである。
ファラデーの電気の発見のごとき大発見と、私などは騒ぎ立てたいのである。なぜなら嫉妬の問題はいかなる科学的発見によっても解決されないからだ。しかし、この歌を読めば、嫉妬に狂う人も思わず自分の傷を笑えるであろう。ほんとうによく出来た歌には薬効があり、この歌は何人もの殺傷事件を防ぐものとなるにちがいない。
(五行歌の会主宰 草壁焔太跋 より)