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ナニャトヤラ画像

2014年いわき民報ふるさと出版文化賞特別賞受賞!

書 名 ◇ ナニャトヤラ
著 者 ◇ 大友誠三
価 格 ◇ ¥ 1,575 (税込)

四六判・上製・370頁
定価1,650円(本体1,500円+税10%)
全二色刷り・カラー口絵14頁
ISBN978-4-88208-120-3

2013年2月14日発行


◆◇ 17年の集大成! 限りない優しさに包まれた歌群! ◇◆

私は、詩歌は最後は人柄だということを、よく言っているが、そこまで観る人を思いやる、それも生まれつきのよい人柄でおのずと思いやってしまうなら、人柄のうたびとを代表するうたびとといってよいに違いない。この「代表する」というような言葉を氏が恐れることを承知の上で言うのである。(草壁焔太跋より)

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この歌集はまるごと大友さんだ。ご自身が「エンディングノート としての意味合いが強い」と前書きで書かれているように、全編通 して読めば、大友さんの来し方、その折々の在り様をうかがい知る ことが出来る。それらはときに土臭く、朴訥なやさしさに溢れてい る。飾らない言葉の向こうに少年のようなはにかみがある。慈しみ に満ちた目の中に深い思索がある。
 大友さんの歌は紛れもなく大友さん自身であって、表現する中で 何か別のものを装うとしたことなど、私の知る限り一度もない。い ずれの歌にも無駄な力を感じない。仕上げるために意図的に力を加 減するようなことなどしない率直な人だ。それは、大友さんの生来 持っておられる感覚、人生との向き合い方そのものであるように思 える。(いわき五行歌会 藤内明子氏 )

歌画像1 ナニャトヤラ画像

歌集のタイトルになっている「ナニャトヤラ」は盆歌の一部である。身の内外の出来事や思いは、育んでくれた故郷の懐の深さへと回帰していく。故郷の大地や野山に木霊する盆歌が地を這い風に乗り作者の耳に微かに聴こえて来る。私の故郷では盆歌を歌うことを「口説き」という。ならば、「ナニャトヤラ」の歌群は、私にとっては作者の「口説き」を聴く(読む)ことに繋がっていく。
歌を詠む眼差しは、デッサンの線の太さと繊細さの両方を併せ持ち、「人物や情景の構図」「自我の構図」にまで広がりを見せている。挿入された油絵や水彩画もいい。

 千の     黒々とした
 花びら    石の配置に導かれ
 光りながら  たどる小径に
 谷から    木の実が
 吹き上がる  降る


 縄文の
 しっとりした暗闇を
 絵に表したい
 光を描かずに
 闇を表現できるか
 絵を描かれる方の視点の鮮やかさと深さ、色彩によって広がるイメージと浮かび上がってくる情景。「絵」そのものである。光の底の闇か、闇の先の光か。絵を描く姿勢とともに「闇」と「光」は哲学する宝庫でもある。
(中略)

 あの日
 「もう海など見だぐもねえ」と
 慟哭した老女が
 しずかな海を眺めていた
 海は大きい

テレビや新聞等で眼にした状況、三月十一日午後二時四十六分、全国民が総て忘れることの出来ない日時である。九州に住んでいる私には歌に詠むことが出来ない。詠みたくないのではなく詠めないのである。東北の方々の圧倒される思いの歌の前では。この歌の中の老女の背中には「人間と自然」「人間の逞しさ」「慟哭と希望」あらゆる思いが映し出されている。海は大きいのである。
(五行歌の会同人 安部節子氏)

ナニャトヤラ画像

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