2013年12月の新刊
|
書 名 ◇ 『2013・♂・66』
(2014年・男・66歳) 著 者 ◇ 甲斐原梢 四六判・上製・200頁 定価1,320円(本体1,200円+税10%) 発行日 2013年12月25日 ISBN978-4-88208-126-5 |
◆◇ 最も冷静な科学者が、思いによる「全て」についての交響詩を奏でた! ◇◆
甲斐原梢さんは敬服せざるをえないほど、思いによって物象、社会、人間を解析し、抽象し、構造化し、それらの幽かな本質を掴みだし、言葉の組み立ての中で感じさせてくれた。
科学の真理や公式と違って、感性という個性をも含んだ表現であるから、物事の「裏の裏の裏」をも見透かす洞察の洞窟が、やはり独特の味わいも持ってくる。
その感性の特徴はかなり抑えられているが、朴訥で誠実な人柄、話し方そのもの、つねに内省が先に立って、決して過激に見せることがない魅力的な安心できるバランスが歌にも顕れている。
(草壁焔太跋より)。
・見えないものまでをもその連なりの先に解明しようとする視線だ。身に付いた観察、洞察は限りない思いの広がりと自由で深い発想を生むのだと教えられる。(70代 女性)
・人は深い心の闇を徘徊することが間々あるからこそ自然は春、突如として花を龍と化し躍動する光に向かうシーンを用意しているということを予感させてくれる歌集だ。(60代 女性)
・この歌集は十一章からなり章のタイトルはすべて歌の一節である。その中で作者は人を自分を、自然を心を詠う。包むように家族を詠い、子となってひたすらに父、母を詠う。どの章もどの歌も詠んでいる対象を的確な言葉で表現している。作者の歌のあとには、その対象はそう表すのが最上の表現なのだと思わせるほどに。
第二章では作者の五感で感じた四季をオリジナルな表現で詠み読者は時に絵画を見るように色を感じ、時にその場に佇むように風を匂いを感じることができる。一方で第八章では人間の性、人の心の深い底の部分を日に曝し読者の心を不安にし切なくさせる。十一の章の起伏とともにこちらの感情も浮沈する。それでも最後は人間寄り添うのみという言い切りに大いに納得させられ、一番楽しいことはきっと今から…という気にさせられるのである。(50代 女性)