2014年7月の新刊
書 名 ◇ 『慈雨』
著 者 ◇ 井椎しづく 四六判変型・仮フランス装・256頁 定価1,320円(本体1,200円+税10%) 発行日 2014年7月 ISBN978-4-88208-129-6 |
◆◇ みずいろの声 ◇◆
傑作と思える歌をあげていくと、「そうではない」という何者かの声が聞こえる。それは、みずいろの声とでもいいたい声である。彼女を救った慈雨というようなものか、あるいは、そのたたずむ水辺の風景か。読者に、その全体を感じていただきたいと思う。 そう思うとき、こういう繊細さで創られている彼女の装丁の数々もまたそのイメージのなかに入ってくるような気がする。(五行歌の会主宰 草壁焔太跋 『みずいろの声』より)
◆◇著者から ◇◆
15年間の五行歌創作活動から、204首掲載。福井雅世さんによる挿絵21枚。
ジャケ買い歓迎! ブックデザイナーの著者が、こだわりの造本装丁をしました。
紙の温かさ、糸かがり綴じの開きのやわらかさを楽しんでください。
私が最初にインターネットで五行歌と出合ってから、気が付くと十年以上経っていました。ようやく念願の歌集をまとめることができました。
歌集のタイトル「アムリタ」(読み)は、「インド神話に登場する神々の飲物、不死の飲料」の名前です。私が好きな、よしもとばななさんの小説のタイトルにもなっています。本来、雨という意味はないのですが、私の解釈の中で、待ち望んだ恵みの雨=慈雨=アムリタととらえています。
雨は、雫そのものでもあります。
一度大病を患った私は、退院できたとき、「これからはおまけの人生だ! 精一杯生きよう」と思いました。
私にとっての「慈雨」は、家族や、友だちがくれた泣きたくなるような優しさでした。カラカラだった私を潤してくれた「慈雨」こそ、私の命をつなげてくれたものだったのです。
私は、病後あいた時間で、歌会へ参加するようになり、五行歌の会の同人になりました。毎日を過ごす中で書き留めたいことを五行歌に詠んでいきました。歌に詠むと埋もれていた「思い」が昇華されるような気持ちを味わいました。私の歌が、誰かの「慈雨」になれたら、どんなにうれしいでしょう。
(『慈雨』あとがきより)
・「装丁 著者」が超かっこいい! ・掌にやさしくなじむ美しく繊細な装丁。
・軽くて、コンパクトサイズなのでバッグに入れて持ち歩けます。
・もともと涙もろい私ですが、なんだか途中から涙がボロボロ出てきて、鼻をかみながら読みました。
・さりげないつぶやきが私の心を打ちました。
・読後、冷たく、温かく、きれいな水を確かにごちそうさま、いただきました。