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本のご紹介

2022年8月新刊 『緑の星』

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【書誌情報】

[そらまめ文庫 く2-2]
書 名:五行歌集 『緑の星』

著 者: 桑本明枝
新書判・並製・104頁
定価880円
(本体800円+税10%)
ISBN978-4-88208-195-1
発行日:2022年8月8日



◆◇桑本明枝 第二・五行歌集◇◆

 この本には、あらゆる残酷が描かれている。作者は、だが、それを裁かない。放置する。この本の作者は、かつて見たこともないほど、多能である。他人の人生までを自分の歌にしてしまうほど、感性も多様に発達している。
 そして、そのうえ、彼女は障害児の母となった。人生上、最大の困難を、神か、運命かに託されたのである。多能なこの女性は、その困難さえ自分の武器のように見せることさえする。
 事実、そうなのであろう。
 この多能な人の歌を私はいちいち解説したことはない。どうなるものか、じっと見てきた。

 青い地球に
 生命いのちの種が撒かれ
 多彩な形状の生き物が次々に生まれくる
 神のように 微笑んで見ている
 ただ いとおしく

 この歌集の中の『緑の星』の項が、その結論である。あらゆる残酷、運命、使命はすべてここにつながる。
 この歌集は、最も多彩な感性を持ち、多能なうたびとの、思想の本である。

(五行歌の会主宰草壁焔太・跋文より抜粋)


◆◇著者あとがきより◇◆

 『五行歌集 緑の星』には、1999年10月私が五行歌に出会って以来2008年までの10年間に作った五行歌の作品141首を収めています。
 (中略)
 できないこと、頑張ってもうまくいかないことを、五行歌に書いて外に出すと、「頑張ってるね」「すごいね」とほめていただけたりします。賽の河原で石を積むような失意の日々を重ねていたりするのですが、そう書くと、「そんなに頑張っているのですね!」と言ってもらえて、驚くやら嬉しくなるやら。これからも五行歌を作るなかで、自らを見つめ、恥じることなく自身を語り、一つしかないこの生を自分らしく悔いなく生きていきたいと思います。


◆◇著者プロフィール◇◆

桑本明枝(くわもと・あきえ))
(本名 豊明枝(とよたか・あきえ)
1958年大阪府生まれ。
障害者福祉施設非常勤職員。翻訳者、市民ライター。
五行歌の会同人。ひらかた五行歌会代表。
著書に、『五行歌自選小歌集 緑の星』(とれぶ出版部)、『五行歌集 コケコッコーの妻』(そらまめ文庫・市井社刊)エッセイ集『言いたい放題!アッキー28号 機械の友だち』(2016年・とれぶ出版部)、エッセイ集『言いたい放題!アッキー28号2 愛のききみみ頭巾』(2018年・とれぶ出版部)がある。
訳書に、『変化を起こせ 未来を担う若い障害者リーダーを育てるために障害当事者団体にできること』(共訳・2013年・無料)『インクルーシブ教育の輝ける実例〜可能性のスナップショット〜』(2015年・無料)がある。 


◆◇目次◇◆

ドリームワーク 〜蝶〜

障害の子
VS 夫
障害児の母
共に生きる世界へ
緑の星
心・象・風・景
実験動物棟
国旗掲揚
友よ、私の生きなかった生を生きる人たちよ
王子
これから・・・
 跋 小さい、が、大きい  草壁焔太
 あとがき


◆◇収録歌 紹介◇◆

自由に生きたい
と願う
障害児の母である
私の前に
真白く光る道


「算数や国語ができても
生活の力がなくては」
それでは
生活の力のない者は
文字や計算を 学んではいけないのか



戦をするのが
男のさがなら
一億
総メス化
してもいい


あたらしい世紀には
目覚めた人が
増えるといい
この星で
仲良く暮らしていくためには


心は
無限の多面体
どこから光をあてようか
私の中の
修羅も佛も抱きしめる


「ねばならぬ」を
「できたら嬉しい」に換えると
灰色の周囲が みるみる
鮮やかに色づいて
薔薇色の世界に 私は生きてる



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