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本のご紹介

2020年2月新刊 柳瀬丈子五行歌集『風紋』


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【書誌情報】

書 名:『風紋』

著 者: 柳瀬丈子
四六判・並製・166頁
定価1,320円(本体1,200円+税10%)
ISBN978-4-88208-172-2
発行日:2020年4月22日



◆◇神々しいまでに真実なうたびと◇◆

うたびとは、真実を語らなければならぬ。その厳しい掟は、私が仮想したものであったかもしれない。私の詩歌運動は、まず基本をそこに置くことであったから、最初、一生懸命に詩歌を貫こうとする弟のような男のために、書いてやってみようかと詩歌を書き始めた柳瀬さんが、いつか私以上に詩歌に真実をあふれさせたことに私は、誇りを感ずる。
              (五行歌の会主宰・草壁焔太跋文より)
2010年から2019年までの作品を掲載。 2018年戌の章には、伴侶の弘氏の闘病をテーマにした20日間の戦い「嵐の中の日々」を収録。
好奇心に溢れ、命を詠いあげる珠玉の五行歌集。






◆◇著者プロフィール◇◆
柳瀬 丈子(やなせ・たけこ)

1935年東京神田生まれ。早稲田大学文学部国文科卒業。
NHKの人気番組「こんにちは奥さん」の司会者に起 用され、鈴木健二アナウンサーとのコンビで評判をとる。以後各局の生活情報番組、教育番組の司会者、キャ スターとして出演。この間、草壁焔太氏主宰の『絶唱』 『湖上』『詩壇』及び、新川和江、吉原幸子両氏の『ラ・ メール』に参加。1994年『五行歌』同人。 著書に詩集『やさしいメフィストフェレス』(市井社 1982年)、訳詩集『プリット』(講談社1984年)詩集 『青のブーメラン』(思潮社1986年)
五行歌集『夜明けの河』(市井社1998年)、五行歌集『風の伝言』(同 2010年)、五行歌集『波まかせ』(同 2018年)がある。

◆◇目次◇◆

2010 寅  群れない という選択が 磨きあげた 野生の 眼光
2011 卯  樹の 声が 聞える 夜が ある
2012 辰  冴えざえと 空に張られた 冬の弦 りよ りよん りよんと 龍が爪弾く
2013 巳  ある いる する なる えむ
2014 午  若駒の 馳けゆく 大地 天まで つづけ
2015 未  羊雲 三つ四つ浮べて 牧神も 空に 憩うか
2016 申  見る 聞く 云う そして 笑おうぞ 我らヒト科は
2017 酉  黎明を告げる 鳥よ 私も また 鮮しい声の ひとつでありたい
2018 戌  盲導犬 より添うという 究極のかたちを 君から 学んでいる
2019 亥  不器用ですが 一途です このまんま 行くほか ありません
跋 うたびとへの道     草壁焔太
あとがき




◆◇収録歌 紹介◇◆

魚鱗きらりと
あらがう魚
白鷺の喉を
陷ちゆきながら
なおも脈搏つ


淫する とは
ひとつの決意
果まで行くという
痛い
覚悟



鉄棒少女
逆上りして
そのまま
空を
歩いている


朝の湖面に
音もなく
さざ波が立つ
風が素足で
走ってゆくのだ



ああ
吹き過ぎるものよ
 風の色
 風の匂い
 風の声
風紋   風のあしあと


壊すことの狂気ばかりを
人は云うが
創ることも 壮大な狂気なのだ
どちらも
人を酔わせる



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