2024年5月新刊『折りにふれて』
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【書誌情報】
書 名:『折りにふれて』 著 者: 松本葉子 4/6判・上製・148頁 カラーページあり 定価1,540円(本体価格1,400円+10%税) ISBN978-4-88208-211-8 発行日:2024年05月25日 |
◆◇松本葉子 五行歌集◇◆
日常の生活や旅先で見た光景も鮮やかで、心が籠っている。歌集のタイトルの『折にふれて』の歌であるが、その折々の詩情が作者の人生なのである。決して平凡な時ではない。好みの男がジャン・ギャバンだといわれれば、大方の男は黙ってしまう。好みは自由で、高度であっていい。
折にふれて、示される人生観にも、もの思わせるものがある。
言葉には
嘘があるが
行為には
一つの嘘も
無い
時は人を
縛らない
自分の一心が
現在の時間に
囚われているのだ
人生の歌はそう多くないが、いろいろあったようである。その間に、人を見る目、世を見る目は育った。人生は、呉で始まったという。お父さんは軍人だった。彼女は私より五歳くらい若いが、最後の戦時中の生まれらしい。
同じ歴史を生きてきたと思い、親近感を持った。
◆◇著者プロフィール◇◆
松本葉子(まつもとようこ)
1944年生まれ
1965年 ドレスメーカー女学院卒業
1966年 結婚 倉敷市に住む
2003年 岡山五行歌会入会
2004年 五行歌の会会員
2014年 五行歌の会同人
現在、岡山市在住
◆◇目次◇◆
はじめに 長谷川和美
1 水芭蕉
2 風になびく
3 いきもの達
4 古刹の庭に
5 山路を辿れば
6 旬の味覚
7 隠し味
8 儚いもの
9 ことの葉
10 黄昏の空に
11 暮らしの中に
12 孤をたのしめたら
13 雪中花
跋 音なき音を書く 五行歌の会主宰 草壁焔太
あとがき
◆◇はじめに 長谷川和美氏より◇◆
二十年以上、岡山五行歌会を支えている存在だからこそ、この言葉が人柄を際立たせている。誰かが言わなければいけない役を、いつも担っているのであった。歌会の場面では、エネルギッシュに内から湧き出る言葉で、立て板に水のごとく歌評を言いまとめる。この流れ出る元は、趣味の旅行で、あちこちを巡られ見聞を深めていることや、演劇、音楽、アートの鑑賞にも積極的に足を運ばれていることにある。自分の内面を磨かずして切れ味のよい言葉は出て来ないと思う。
この度のご上梓にあたり、いくつか作品を読ませていただいたが、語彙の豊富さ、まとめ方、五行目の着地まで細やかに行き届いた作品ばかりであった。昔話「つるのおんがえし」で、鶴は自分の羽根を抜いて見事な錦を織りあげるが、著者がそうやって書き上げた作品を多くの人に読んでいただきたい。
◆◇収録歌 紹介◇◆
世羅高原は
極彩色の
バラの花園
蝶のように
花から花を渡り歩く
沙羅の花
落ちる
音なき音が
聞こえたような
静穏の時
ゆるやかに続く
神社の回廊に
佇めば
裏山は
紫陽花の青海原
存在感のある
ジャン・ギャバンに
嵌りこんで
仏映画のDVD
十作品に遊ぶ
言葉には
嘘があるが
行為には
一つの嘘も
無い
時は人を
縛らない
自分の一心が
現在の時間に
囚われているのだ
