2025年02月新刊 『光る水滴』
◆◇光る観察眼 福田雅子五行歌集◇◆
書 名:『光る水滴』
著 者: 福田雅子 4/6判・並製・174頁 切り絵カラー扉 定価1,650円(本体価格1,500円+10%税) 発行日:2025年2月20日 ISBN978-4-88208-218-7 切り絵 羊大 書 嶋宮香楓 |
◆◇跋文より◇◆
雨上がりに
光る水滴は
大きくても
小さくても
同じ世界を映している
この歌を見たとき、これはもちろん自然の歌だが、人の世も描いていると思った。小さい水滴、大きい水滴は、私たちの目のように思える。
どの目も、同じ世界を映している。幅広く言えば、人間以外の動物も…。
私はこの歌を見たとき、この世に溢れているさまざまな目を思った。
同じ世界を映して、私たちは同じ仲間としてこの世に在る。それがとても嬉しいことのように思えた。
(中略)
彼女の歌のよさは、その目のよさである。水滴は同じ世界を映すが、歌人の目はそれぞれ違ったものを映し出す。彼女の歌には、はっとさせられることが多いのは、予想もしないものを映し出すからである。
◆◇あとがきより◇◆
一年前には新しい歌集を出すことなど全く考えていなかったのに、思いがけない出来事をきっかけに、事務所の皆さんを振り回し、拘り満載の歌集を出すことになりました。
この歌集は、素晴らしい切り絵、美しい書、そしておまけ的に私の五行歌から成っています。切り絵と書、間に挟んだカラーページを楽しんでいただければ、私はそれだけで大満足なのです。
◆◇著者プロフィール◇◆
福田雅子(ふくだ・まさこ)
1953年 横浜生まれ
2011年 五行歌を始める
2016年 五行歌集『馬ってね…』出版
埼玉県狭山市在住
◆◇目次◇◆
一 桜のネイルアート
二 男の色気
三 光る水滴
四 ナスカの地上絵
五 空が落ちてくる
六 地面のひび割れ
七 雪中四友
八 無言の失言
九 透明な地球
跋 草壁焔太
あとがき
高くかざした
桜の落ち葉の
虫食い穴から
空が一滴ずつ
落ちてくる
細長〜い畑の
端と端
無言のサインで
ビニールを張る
里芋畑の春
台風一過の
日差しの強烈
葉の裏に
てんとう虫を
くっきり写して
前を行く車の
リアウィンドウに
夏空が広がる
私のハンドルは 今
操縦桿になった
傾けると
水滴が
こぼれそう
水辺を描いた
水彩画の透明
地面のひび割れは
平和な国境線
大雨の後の
新しい世界にも
争いはない