2021年7月新刊 『草千里』
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【書誌情報】
書名:五行歌集『草千里』 著者:市原恵子 新書判・並製・142頁 定価1,320円(本体1,200円+税10%) ISBN978-4-88208-188-3 発行日:2021年7月30日 カバー写真:「キロクマ!」より |
◆◇市原恵子五行歌集◇◆
市原さんは、まさに阿蘇の周辺に住んでいる人で、いつもドライブして、阿蘇を、その緑を、風を、普賢岳を、有明海を見ている人なのである。
彼女の歌は、いつも、その風光を讃えてやまない。だから、私は彼女の歌によって、阿蘇に暮らす人の日常を味わうことが出来た。
しかし、風景が美しいから、人は幸せかというと、そうでもない。たぶん、そういう人であったが、彼女は突然、悲嘆のどん底に突き落とされた。一人息子が大学生のとき、突然亡くなってしまったのである。歌集を読まれる方は、その悲しみが終わることがないこともご覧になるであろう。
◆◇著者プロフィール◇◆
市原 恵子(いちはら・けいこ)
1939年 満州通化省生れ。
熊本県立宇土高校卒。
社会保険中京病院附属高等看護学院卒。
熊本大学教育学部養護教員過程卒。
2000年 養護教諭退職
2000年 五行歌の会入会
◆◇目 次◇◆
第一章 阿蘇の風
第二章 あの日、あの時
第三章 阿蘇のわき水
第四章 とつけむにゃ 雪
第五章 阿蘇の声
第六章 「よか」「よか」
第七章 入道雲と普賢岳
第八章 命日に届く声
第九章 麦 秋
第十章 草千里
アルバム あの日、あの時
跋文 草壁焔太
あとがき
◆◇収録歌 紹介◇◆
野焼きの山が
黒からこげ茶へ
そしてみどりに
阿蘇の風が
色をのせてゆく
大地も風も
空までも
みどりが制する
五月の
阿蘇
梅雨あけの
入道雲
象が前足をあげ
普賢岳に
のしかかる
祖母の言葉
そのままに
二才児は
なにかにつけて
「よか」「よか」「よか」と…
野焼きの
まっ黒の土から
草の芽が
人の命は
こうはいかない
息子の学友から
命日に今年も花が届く
二十三年も続く
うれしか≠ニ電話口
熊本弁で礼を云う