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本のご紹介

2019年3月新刊 河田日出子五行歌集『おりおり草』

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【そらまめ文庫 か1-1】
書 名 ◇ 『おりおり草』
著 者 ◇ 河田日出子
定 価 ◇ 880円(本体800円+税10%)

新書判・並製・100頁
本体800円(税別)
発行日:2019年03月13日・絶版
ISBN978-4-88208-162-3

◆◇著者プロフィール◇◆

河田日出子(かわた・ひでこ)

河田 日出子(かわた ひでこ)
1939年 東京都豊島区に生まれる。 明治学院大学社会学部卒。
現在、婦人文芸同人、 五行歌の会同人。 2018年 小説『変身』で、第12回関東同人雑 誌優秀作品賞受賞。著書に、詩集『男たちよ』『女 のうた』、ノンフィクション小説『俺はこわれ ちゃったんだよ』、五行歌集『机と椅子』がある。


◆◇ 五行歌と歌の背景の小さな文章と ◇◆

この五行歌集は、五行歌一首ずつにその歌の背景や、その当時のもの思いの小さな文章をまとめたものです。
五行歌が生み出されるきっかけのヒントや、歌をより深く理解する参考になるでしょう。
年を重ねても、なお創作意欲を燃やし続けられる様子に、心打たれます。
章立てはありませんので、どこからでもお好きなところから、五行歌と文章をお楽しみください。


不幸が
続くと
喜びに
変えてしまう
したたかな私

幾つに
なっても
希望は
もっていたい
死だって希望だ

 たとえばこの二首は、強さは十分あっても揺れるところもあった三、四十代の彼女にはなかったものだ。何かが彼女を練りに練って、練った上に踏んづけたり、ちぎったりしているうちに、化け物のような精神を作ってしまったというしかない。
 こういう歌は過去の文学の歴史にもなかったし、誰もが目指したような言葉ではないかと思う。というよりも、境地というべきか。漱石の則天去私よりも上をいくと私は感ずる。いや、漱石のような悩める若者に見せてやりたいようなものと私は思う。

生きてきた
道が
ベターッと
顔に
張りついてる

 これなどもいいなあ、と思う。人みなが芸術のように思えてくる。彼女は毎晩、寝る前に人の五行歌集を読んでいるという。将来は二人に一人がそうしているだろうと。
(五行歌の会主宰 草壁焔太氏・跋文より)


◆◇内容紹介◇◆

心を
耕す
深い
思いは
人をつくる


 考えすぎよ、と言われるぐらい、私の思いは深い。考える病気だと思ったこともある。 職場にいた頃、部下の女性の悩みの中に私も入って病気にもなった。今は気をつけている。



強さで
人に勝とうとするより
優しさで
勝とうとする
人間は恐い


こういう面を、みんな持っているのではないでしょうか。私にもありますが、ほとんど表面には出しません。自己嫌悪になるからです。特に女性にとっては、優しさは武器です。



正直の
裏には
嘘つきが
住んでる
人間


  正直に生きていたいという思いは強くあります。母は自分の夫のことを、正直に、バカがついてると思っていたようです。自分自身をよおく見詰めると、嘘つきも住んでます。



しあわせすぎても
詩歌は湧かない
しーんとした
孤独の
中から産まれる


 孤独は悲しい淋しいと思った時期もありました。夫逝って十年、ドストエフスキーは、人間は何にでも慣れられると言っていますが、孤独も慣れると捨て難いいいものです。

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