新刊ピックアップ!

本のご紹介

2022年7月新刊『遠近両用メガネ』


カバー画像
【書誌情報】

書 名:五行歌集『遠近両用メガネ』

著 者: 窪谷 登
四六判・上製・268頁
定価1,540円
(本体1,400円+税10%)
ISBN978-4-88208-194-4
発行日:2022年7月08日



◆◇窪谷登 五行歌集◇◆

  ほんとうに質のいいユーモアは、静かに腹の底から、いつしらずクツクツと静かな笑いが起こり、いつまでもその笑いの波が残るものである。窪谷登さんの歌は、その好例であろう。

優しさを
装う
優しさを
時には
それさえ望む

夫婦間には
甘えがある
それを
許しあえない日がある
それが今日だと妻が言う

 全体におかしく作られた歌が多いが、ここには真顔の愛の悲しみのようなものがある。冗談ばかりの旦那さんですが、奥さん、許してやってください、と読み手もいっしょに謝りたくなるような……。夫婦は、どちらもあわれで、かわいそうなのである。
 だから、ユーモアに収まっているほうがいいのかもしれない。

 窪谷さんの歌集には、会社・仕事の歌の章がある。これは、実は案外珍しいことだ。男の人の歌集も多かったが、その章のある歌集は、ほかに一例あるだけである。
 窪谷さんの会社・仕事の歌がいいのは、やはりその軽妙さによって救われるからである。

(五行歌の会主宰草壁焔太・跋文より抜粋)


◆◇著者プロフィール◇◆

窪谷 登(くぼや のぼる)
1941年 東京深川生まれ
1997年 五行歌の会に入会
現在、会社役員
趣味 苔盆栽・ゴルフ


◆◇目次◇◆

第一章 妻 T
第二章 男の一生
第三章 ジジババ横丁
第四章 カーナビの案内で
第五章 スゴイと言われたくて
第六章 苦労人
第七章 本日の贅沢
第八章 女性の術
第九章 無口な営業マン
第十章 ラ・フランスの香り
第十一章 「順風」の額
第十二章 ありがとうのしぼみ
第十三章 妻 U

跋 草壁焔太


◆◇収録歌 紹介◇◆

カーナビの
案内で
行って来た
福島の
秘湯


遠近両用メガネ
出来上る
さて
君を
どちらで見るかな



スゴイと
言われたくて
男は
何歳になっても
背伸びをする


「熟女好き」と
Tシャツにプリントされた
若者に出会う
おじさんに
二、三日貸して


ふぐ鍋の
底に潜む
「利益追求」
「売上増大」
今夜の接待


おんなの人は
時々、鍵を掛け忘れた
振りをする
その時、泥棒にならないと
不機嫌になる



Page Top ▲

ホームページ テンプレート フリー

Design by