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2023年1月新刊『あの山のむこう』

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【書誌情報】

[そらまめ文庫 な2-1]
書 名: 五行歌集『あの山のむこう』

著 者:中島さなぎ
新書判・並製・154頁
定価880円
(本体800円+税10%)
ISBN978-4-88208-200-2
発行日:2023年1月25日
装画:福田万里子
タイトル:旅の記憶

◆◇中島さなぎ 五行歌集◇◆

隠岐島で生まれた文学少女は、五行歌に軸足を移し、「本を出す」夢を叶えた。
島育ちの叙景歌から、リアルでシニカルな日常詠まで、美意識が光る一冊。

 私は小豆島の出身だから、隠岐の島出身の中島さんの歌にはいつも注目していた。島育ちには、島育ちの気持ちがある。表題となった歌、

  山の向こうにも
  山がある
  山を越え
  知った
  美しい山

 この歌を見たとき、私は島の人の心を思い浮かべた。島の風景の延長上にあるこの山は、はるかに遠い山である。そして美しい。
(中略)
 日常歌は、かなりリアルであり、シビアでもある。
 そのなかでも、私が『五行歌』誌で取り上げた好みの歌がいくつかある。
 この人は、どこまでシニカルなのかと、思ったこの歌も印象的だった。

  詩人になれなかった
  死人
  死人になった
  詩人
  どちらにもなりたくない

 詩を書く人にはかならず見てもらいたい歌である。  

 
(五行歌の会主宰 草壁焔太・跋文より抜粋)

◆◇著者プロフィール◇◆

中島さなぎ
島根県隠岐郡海士町
(隠岐諸島中の島)出身
大阪府枚方市在住
五行歌の会同人
MRWC(私設ウォーキングクラブ)所属
趣味は五行歌、みることきくことあるくこと


◆◇あとがき から◇◆

五行歌に出逢う前に詩やエッセイを学んだ。講師の福田万里子先生は「切り口から血の滴る文を」と、次の夏森先生は「神は細部に宿る」、三代目の徳田先生は「説明でなく描写を」と説いた。実践は難しいけれど、教えは胸に刻まれている。結局エッセイは上達せず、五行歌へ次第に軸足が移って行った。気がつけば五行歌の会に加入して十年が過ぎている。
(中略)
皮肉なことにパンデミックが今回の上梓のきっかけとなる。やりたいことは先送りせず、今やっておこう。そんな心境の折、タイミング良く草壁先生の後押しを頂けた。
 

(著者・あとがきより抜粋)


◆◇目次◇◆

山がある
空がある
COVID-19 ビフォーアフター
少年時代
3年B組
働く
365歩
ルーツ&スイーツ
ヒョウ柄日和
悲しき食いしんぼ
春夏夏秋冬
百花事典
命の周辺
一対 男と女
遠い島 遠ざかる母・義母・父
  跋 草壁焔太
  あとがき
  五行歌私的年表


◆◇収録歌 紹介◇◆

山の向こうにも
山がある
山を越え
知った
美しい山


甲板から
見下ろす港
母が
やけに小さかった
旅立ちの日

あお、みずいろ、うすみどり、
夏日の四条大橋
行き交う人の
まとう衣
打ち水のよう


詩人になれなかった
死人
死人になった
詩人
どちらにもなりたくない

口移しのように
あなたから
もらう火種
線香花火
爆ぜる


出逢ったことが
あなたの運命を
狂わせたのなら
わたしも悪女の
端くれだろうか

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