秀歌集シリーズ

本のご紹介

2016年〜2020年の五行歌秀歌集

カバー画像
書 名◇ 『五行歌秀歌集4』
       ’16〜’20

編 者◇ 草壁焔太

A5判・上製・554頁
定価3,300円(本体3,000円+税10%))
発行日 2021年10月15日
ISBN978-4-88208-190-6


◆◇編者プロフィール◇◆

草壁焔太(くさかべえんた)

1938年 旧満州大連生まれ、9歳のとき小豆島に引揚げる。
東京大学文学部西洋哲学科卒。
1957年 19歳にて五行歌発想 1994年 五行歌の会創立。同人誌月刊『五行歌』を創刊。

主な著作 五行歌集『心の果て』『川の音がかすかにする』『海山』『人を抱く青』
五行歌論集『飛鳥の断崖』1998年、『散文人間・韻文人間・データ人間』1990年、『もの思いの論』2009年、『すぐ書ける五行歌』『五行歌 誰の心にも名作がある』以上市井社
『五行歌入門』東京堂出版(2001年)、 東京都在住。


◆◇世に語り継がれる珠玉の1,882首! ◇◆

         草壁焔太
私は

血流の
上を
航く

         三好叙子
身を濯ぐとは
ほら、
あの雀の砂浴び
烈しく
また 楽しそうに

2016年〜2020年に発表された五行歌秀歌1,882首編纂。
収録歌人473人。554頁。新詩形五行歌の渾身の一冊!
五年毎に刊行の秀歌集シリーズ第4冊目。


 五年ごとに刊行するこのシリーズも、四冊目、その前に出された『五行歌の事典』が、最初の選歌集とすれば、五冊目となる。五行歌運動を始めてから、二十七年、月刊誌『五行歌』は、この九月で三百二十九号となった。
 そして、五行歌全体から秀歌を選んだ集が五冊目。よくやったと思う。というのも、もう次の秀歌集は、私の秀歌集ではないかもしれないと思うからだ。果たして、そのときまだ生きていたとしても、それだけの精神力があるかどう か、何の保証もない。
 心のうちに、「もういいかな〜」という気持ちもある。
 しかし、代わりの人では難しいかとも思う。五行歌全体を見ていて、その将来を決められる人は、なかなか出ないだろう。まずは、その立場にいないといけないが、その立場には私がまだいるかもしれない。
 そういう予想もできないこの先を思うと、この『五行歌秀歌集4』は、非常に重大な意味を持つ。私の締めくくりの選歌集だと、思うべきだからである。
 この集の序を書き始める前に、いままでの三冊の序文を読み返し、そのついでにいままでの三冊のなかみも、読み返した。どの秀歌集も全身全霊をかけて選し、配列したものであったが、読みながら、忘れているものが多いのに驚いた。それだけでなく、歌のいいことにも驚いた。
 一つ一つ、こんなによかったかと思う。驚きは、慄きにも近いものがあった。歌もよすぎるものは、慄きである。魂が震える。それくらいであって、初めて秀歌とはいえるものだ。改めて、「秀歌」というものの意味を知った気持ち になった。
 とくに『五行歌秀歌集3』はよかった。そこで、今度の4を読み返すと、やはりいい。1、2よりも、かなりよくなっているように思える。
 どこが?
 それにこたえるには、かなり膨大なスペースが必要かもしれないが、一口に言って、歌の奥行き、よさの奥行きが違ってきたということであろう。1、2とよい歌を見ているうちに、うたびとの心も、歌もさらによくなってきたということなのだ。
 例を挙げてもいいが、秀歌集の歌はすべてが例に値するから、あえて挙げない。みなさんも、是非、いままでの秀歌集と読み比べていただきたい。
 というのも、これだけよいものが、さらに進化するということを知ることが、重要だと思うからだ。それは、我々はもっとよくなる、ということを意味する。また、我々も五行歌もそうでなければならない。
 この進化をもたらしているのは、思いの進化である。人の思いの表れた歌に感心する。すると、その思いは、心に取り入れられる。ところが、心は同じ思いを抱いていることにたえられない。同じでは面白くないから、思いをさらに 一歩深める。こうして、みんな思いがそれぞれに進化し、得も言われぬ思いが歌になってくる。その凄みが3とこの4の歌なのである。
 私は、このことを確認して、「ああ、よかったあ」と心の底から、安心した。五行歌はただときが過ぎただけではなかったのである。みんなの思いが、みんなに影響し合い、深さも、高さも、幅も、増してさらによくなっていたのだ。
 こういうことを知るためにも、こういう秀歌集のようなシリーズは必要であろう。
 こういう選集も五冊目となると、別の意味で相当に変化もしている。
 まず、歌数が多いから、さまざまなジャンルに分けるのはいつもだが、この4では分け方がかなり変わった。これは、私の気持ちが変わったからだと言ってもいい。
 1は三十四巻、2は三十八巻、3は三十九巻だったが、この4は、三十一巻となっている。
 一番、大きな変化は、高齢、闘病といった巻がなくなったことである。
 その理由は、そういった項目の歌がかなり多くなっており、そういった見出しを巻名にすると、世の中真っ暗とでもいいたいような構成になるからである。
 そこで、「生」「生活」といった巻でそれらを扱うようにした。例えば、病や療養は、現代の人々の生活の中に当然のようにあり、生、あるいは生活として考えられるからである。高齢についていえば、今の世の中では九十以上が高 齢ではないかと思われるが、その水準は年々上がってきており、高齢という名詞でくくるのは、悲観的に過ぎると思われる。
 だから、あえて高齢と断らなくてもいい、と考えたのである。
 高齢がふつうになったとしたら、果たして高齢という言葉に意味があるだろうか。高齢の人のほうがよほど若いという場合も多い。生活も自由、生活の質も高い。
 それで、「生」を感じさせる歌は「生」、生活の歌は「生活」、というものを意識させる歌として集めた。
 それとともに4の巻名のもう一つの特徴は、動物とか、植物とか、百科事典にありそうな巻分けをやめることにしたことである。私自身、百科事典好きのようなところがあって、いままでは動物、植物でやってきたが、それではいかにも詩的でない。
 そこで、「木・花・実」「生き物」「海・山・空」といった巻名にした。
 もう一つ、最初の巻は「宇宙・自己」としている。私は、この二つのものを同じものだと感じている。それはおかしいという人がいても、私はこの世は、宇宙と自己の対立関係からできており、それは同じものなのだという思いがある。私の勝手な思いといわれてもよい。人が「私」といい、「宇宙」というとき、それは同じことを言っているのだと思っているのである。
 それが、私の思いであって、それによって、この秀歌集を編んでいる。したがって、この秀歌集は、私の秀歌集できわめて個性的なものだと言いうる。私としては、こういうものでさえ、個性によるものだと言いたいのである。
 次に誰かが作れば、その人の個性によるであろう。
 私自身は、自分の好きなようにして、非常に楽しかった。しかも、歌はそれぞれみんないい。一つ一つに心が震える。
 この4で、私はもう一つ、変えた方針がある。それは、いままで、五行歌の会の同人会員だけでなく、できるだけ多くの人の作品を集めることを方針としていたが、主として同人会員の作品とするように変更した。というのも、同人会員は、自分の作品を永久に残したいという意思を持ち、真剣によい作品を書く努力をしている。
 同人会員であるのは、その熱情による。しかし、同人会員以外の人は、そこまで真剣ではない。真剣ならば、この運動に参加するはずである。このため、意思のはっきりした同人会員の作品をより多くすることにした。
 同時に、掲載する場合、同人会員以外は、一応、意思を確認する必要もあろう。追跡できずに掲載すれば、著作権の問題も起こりうるから、もちろん掲載しないのが良識である。
 同人会員は、歌を多くの人に読んでもらうため、使用の許諾など全部、私に任せてくれている方々である。特に契約書などは交わしていないが、詩歌の雑誌の主宰者と同人会員の間には、そういう暗黙の了解がある。
 主宰者が、同人会員の作品を用いるのは、それらの作品が世に認められるようにするためであり、同人会員はそれを認めている。それでも、歌会などに来ている方の作品は一部含んでいる。
 子ども五行歌についても、了解を得ることが困難なため、諸学校で行われている子ども五行歌の作品は含ませないこととした。五行歌を書かせている学校は多く、数も膨大すぎる。したがって『五行歌』本誌に掲載しているものに限った。
 五行歌の会とともに、活動している友誌『彩』の会員については、主宰の風祭智秋さんと話し合って、五行歌の会の同人会員と同様に掲載させていただいた。このことをうれしく思う。
 私のやりたいようにさせて下さっている同人会員のみなさんに、深く感謝し、よい歌をこんなに数多く作って下さったことにも深く感謝する。この秀歌の数々は、この時代の珠玉として後世に語り継がれるだろうと確信する。

(編者 序文より)



◆◇目次 紹介◇◆

 秀歌集4の序
 凡例
巻一  宇宙・自己
巻二  春
巻三  夏
巻四  秋
巻五  冬
巻六  恋
巻七  愛
巻八  母
巻九  父
巻十  家族
巻十一 幼子・少年少女
巻十二 生
巻十三 生き物
巻十四 木・花・実
巻十五 海・山・空
巻十六  心
巻十七  思い
巻十八  人
巻十九  生活
巻二十  食べ物
巻二十一 災害・災禍
巻二十二 夫婦
巻二十三 女
巻二十四 男・男女
巻二十五 土地・風土
巻二十六 社会
巻二十七 介護・命
巻二十八 歴史
巻二十九 子ども五行歌
巻三十  旅・世界
巻三十一 芸術・歌・学
 歌人索引
 五行歌の歴史・五行歌を書きたい方へ

※現代の本では、各章に分けるというだろうが、和歌集の伝統と無縁ではないので、当初、巻物であった書籍の文化を偲び、五行歌秀歌集シリーズでは「巻」という言葉を残すこととしている。


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