大化改新(645年)から壬申の乱(672年)までの時代は、天智天皇が実権を握っていた時代です。なんでも新しく始めようと、学校を作り、遣唐使を出し、漢詩や和歌の会を創ろうとしました。 これに惚れ込んで、私を恋人にせよと迫って行ったのが、額田王でした。この本は、その歌が作者不詳の歌として、十三巻にあるのをみつけたことから始まりました。 天智天皇、中臣鎌足、額田王は、意志のはっきりした人物で、天智と額田は恋をしてこの恋を永久に残そうと誓います。その誓いを交わした歌もこの巻にみつかりました。 つまり、万葉集は額田と天智の恋から始まったということが、新しく推定される歌からわかってきたのです。日本の歴史で一番謎になっていた天智の時代が、はっきりとわかるようになりました。 令和という元号が万葉集からとられたことで、万葉集はしばらくブームになると思われますが、この本にとってとてもよかったと思います。 先日送った四月号にフライヤーと書店に行っていただくおねがいの文書を入れましたが、書店も万葉集の謎解き本として、喜んでとって下さると思います。みなさん、よろしくお願いします。 私は五行歌日誌に、この時代がわからないと、ずっと書き続けてきましたが、それがわかって嬉しく思っています。 日本が最もロマンティックな時代に、まさにそのロマンから、万葉集は始まったのです。つまり、近江とは日本の詩歌の国としての出発の地だったのです。 |